私どもは、「より安く提供することがお客様のためになる」とは考えていません。
確かに、1回25分のレッスン料が100円とかそれ以下の会社もあります。
でもそれは、私たちが目指す形ではありません。
私どもはこの事業を通していわゆる「ぼろ儲け」するつもりは毛頭ありません。
ですが、良質の人材を揃えるためには、それなりに高い人件費は必要不可欠なのです。
今回のインターネット英会話スクールの設立にあたり、いくつものグローバル人事制度改革を手掛けてきた「人事のプロ」が、高品質人材を確保し、モチベーションを高く維持するのに最適と思われる人事給与制度を設計しました。
実際のところ、この給与制度は、基本給とは別に、いくつかのインセンティブ給の組合せで構成されています。
基本給だけでも、最低賃金を大きく上回る給与テーブルを作成しておりますし、レッスン回数に応じたインセンティブ給では、1レッスンにつき100円をはるかに上回るインセンティブを支払います。
お客さまから1レッスンたった100円しか頂戴しないのであれば、この給与体系を成り立たせることはできません。
それだけではありません。さらにモチベーションを上げるために、日本式福利厚生制度も導入しています。
独自有給休暇制度、食事や飲み物の支給、控室の充実、深夜送迎、各種社内行事の主催、同好会活動支援、健康診断の実施、医療費補助、慶弔見舞制度などです。
これらの導入には、相当のコストが求められるわけです。
事業化にあたり、私どもは現地入りしてさまざまな実態調査を行いました。
フィリピンの最低賃金は、月額8,000ペソ(約16,000円)です。
ネット英会話スクール事業には、日本籍および韓国籍の企業が多く進出していますが、その中のいくつかの会社が提示している初任給は、6,000ペソ程度でした。
また、いくつかの会社は、全員が完全歩合給のパートタイマーとしての雇用で、基本給なしで1時間あたり数10ペソのみを支払っていました。
授業を行っても行わなくても給料が変わらない会社も多いです。
このような給与体系では、モチベーションや学習意欲を維持できるはずもありません。
現実に、いくつかのオンライン英会話スクールの講師をウォッチしてみて下さい。いかに変動が激しいかがお分かりかと思います。
講師リストを更新していない会社もあり、ある人が複数のネット英会話スクールに所属しているケースも多数見つけることができます。
フィリピンで最も人気の高い職種の一つに、コールセンターがあります。
英語圏の国でありながら人件費が低いことから、欧米企業のオフショアのコールセンターやサポートセンターが続々と設立されています。給与水準も非常に高く、優秀な人材が多く集まっています。
私たちは、オンライン英会話スクールどうしで人材の取り合いをするつもりはありません。
コールセンターのような優秀な人材が多くいるところと勝負していこうとしています。
例えば、日本でも、月額50万円以上の給与を稼いでいる優秀な人材を、月額20万円しか払わない会社が雇おうとしても、できませんが、それと同じなのです。
私たちは、講師たちを「道具」としてではなく、「事業運営のパートナー」として見ています。
そして、「適正に処遇」し、多くの日本の企業と同じく、「自分たちが頑張れば会社がよくなり、結果として自分たちの待遇に反映される」という考え方を理解してもらうように努めています。
「長期雇用が実現する環境を整備し、長期雇用を前提に、絶え間ない従業員教育を施し、スキルアップを図る」---日本企業が当たり前のようにやってきたことです。