(5) 「形式知」と「暗黙知」について その4

テニスが上手な人は、どこにボールが来ても、無意識に足を運び、無意識にテークバックを行い、そして、無意識にスイングしボールをヒットします。

サッカーが上手な人は、常に周囲360度注意を払い、反射的に自分がボールをもらえる位置まで走って行き、来たボールを捌き、瞬時に判断し、パスしたり、シュートしたり、ドリブルしたりします。

野球が得意な人は、…もう言わなくとも分かりますよね?

こういったことは、すべてのプレーヤーが、ほぼ無意識にやりますし、判断はミリ秒単位です。

それをわざわざ「テニス脳」とか、「サッカー脳」とか「野球脳」とか呼ぶことはないのです。

呼ぶとするなら、専業主婦の方々は皆、鍛えられた「料理脳」を持っているということになります。

言ってみれば世の中「何とか脳」だらけなわけです。

中学、高校とバレーボール一筋だったある人が、大学でサッカー部に所属することになったとしましょう。

その彼が、飛んできたボールに、バレーボールのクセが出て、思わずとっさに手を出してしまうということも十分にあり得ます。

それを、「サッカー脳」に切り替えろ、と叱ったところで仕方ありません。クセですから。

彼はサッカーの練習を積み重ねていく中で、どんな状況でも手が出ないようになるはずです。

このように、もしあなたが日本語を介さないと英語が話せないとしても、何ら悩むことも不安がることもないのです。

日本語の場合は、生活に密着しており、染みついた度合いが違いますので、簡単ではありませんが、レベルが上がるに従って、その比率はだんだんと減ってきますので、安心して下さい。

「形式知」と「暗黙知」の性質の違いを理解すれば、私が申し上げている意味が理解していただけるのではないかと思います。

英会話の習得は、決して、巷でよく宣伝されているような特殊なメソッドや裏技のような手法、テンプレートを記憶することなどで身につくものではないということです。

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